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✼ ✼ ✼ 24th Oct, 2019 ✼ ✼ ✼
昨日の定休日、当店ツイッター恒例の 「レコ屋おやじの休日」 のまとめです。
ツイッターは消えていっちゃいますので多少加筆してブログに残すことにしています。
「夕方からレコードを聴く時間ができ、何枚か聴いた後、トランジションのドナルド・バードに手が伸びました・・・」 っていうところから。
Donald Byrd / Byrd Jazz
(Transition TRLP-5)1955年8月録音
うーん、まだ荒削りながらも溌剌とした若き22歳のバードが初々しいですね。
それでは、本日も皆様のご来店お待ちしております。
ボストンの名門レーベル トランジションは、ハーバード大卒の秀才 トム・ウィルソン Thomas Blanchard Wilson Jr. によって1955年に設立されました。
(トム・ウィルソンはのちに、ボブ・ディラン、サイモン&ガーファンクル、ヴェルヴェット・アンダーグランドらの作品をプロデュース。)
トランジションはわずか2年間に 15枚のLPを出して消滅しましたが、この中には、セシル・テイラーやサン・ラの革新的な作品、ドナルド・バードやダグ・ワトキンスの初リーダー作などモダン・ジャズ・ファンには見逃せないアルバムが含まれています。
そして、我が愛する ドナルド・バードの記念すべき初リーダー作がこの 『Byrd Jazz』 です。
同郷のバリー・ハリス Barry Harris (p)、フランク・ガント Frank Gant (ds) らとともに故郷デトロイトでのライブ録音。 ユセフ・ラティーフ Yusef Lateef の初録音が聴けるのも貴重です。
ちなみに、トランジションのLPはジャケット裏面にはパーソネルやライナーノーツなどの文字は一切なく黒や茶一色のテクスチュア加工されたもので、代わりに写真のような冊子が付属していました。(TRLP-1を除く。)
この 『Byrd Jazz』 のものは、左上を1か所ホッチキス止めした写真1枚もない素っ気ないもの(笑)
曲の頭とラストにはプップッー・パッパッーと車のクラクションのような掛け合いが。
自動車の町デトロイト、故郷でのライブの悦びが弾けています。
うーん、まだ荒削りながらも溌剌とした若き22歳のバードが初々しいですね。
なお、バードはこの曲を1958年のヨーロッパ楽旅の際のパリ、オランピア劇場でのライブ盤 『Byrd In Paris Vol.2』 でも吹き込んでいます。
➽ さて続いては、
Donald Byrd / Byrd's Eye View
(Transition TRLP-4)
1955年12月録音
レコード番号的には『Byrd Jazz』の1つ前の4番ですが、録音は約3ヵ月半後でバードにとっては3作目のリーダー・アルバムです。(間に Savoy の 『Byrd's Word』 を挟む。)
レコーディングはボストンの川向いケンブリッジ Cambridge 市の ハーバード・スクエア Harvard Squea という記録が残っています。
ハーバード・スクエアは、ハーバード・ヤードと呼ばれるハーバード大学の顔とも言えるエリアの前にある道路に挟まれたような三角形の小さな広場ですので、録音はこの周辺のどこかのスタジオで行われたのだと思います。
(Harvard Square 著者撮影)
そして、この盤の送り溝部分(Dead wax, Run off groove) には 「手書きRVG」 が刻まれています。録音もヴァン・ゲルダーだったとしたらわざわざボストンまで出向いたことになります。
さらに、バードはここで、アート・ブレイキー、ホレス・シルバー、ハンク・モブレーといった後にブルーノートで幾多の名作を残すことになるメンバーたちと初めてのレコーディングを行うことになったのでした。
ニューヨーク~ボストン間は約 300km(名古屋~横浜ぐらい)。 飛行機嫌いの私はいつも列車ですが、ブレイキー、シルバー、モブレーたちも当時、皆でいっしょに蒸気機関車で行ったかも・・・ と考えると楽しくなってきます。
ニューヨーク~ボストン間は約 300km(名古屋~横浜ぐらい)。 飛行機嫌いの私はいつも列車ですが、ブレイキー、シルバー、モブレーたちも当時、皆でいっしょに蒸気機関車で行ったかも・・・ と考えると楽しくなってきます。
➽ お次は、
Donald Byrd / Byrd Blows On Beacon Hill
(Transition TRLP-17)
1956年5月録音
以前に少し書きましたが、大好きなドナルド・バードの、これまた1番好きなアルバムがこれです。
題名どおり録音はボストンの ビーコン・ヒル Beacon Hill 、Steve Fassett という人の「家」となっています。
ビーコン・ヒルは、古都ボストン発祥の地とも言える500m四方ぐらいのエリアです。
このアルバムのジャケット写真のようにレンガ敷きの歩道と、今でも夜にはガス灯のともる風雅な住宅地です。
日本で言ったら京都の祇園とか西陣とかいった感じでしょうか?
そして演奏もこの Beacon Hill の雰囲気が伝わってくるような滋味あふれるもので、ニューヨーク録音では決して出せない味が出ているような気がします。
あっ、トランジションと言えばまことしやかに言われていることに、「盤の素材が悪く、針を通す度に盤が削れて黒い粉が出る」 というのがありますが、これはまったくデタラメです(笑)
それでは、本日も皆様のご来店お待ちしております。