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✼ ✼ ✼ 2nd Sept, 2018 ✼ ✼ ✼
➽ SAVOYのトランペット人気盤2枚が新入荷しました。
リー・モーガンとドナルド・バード。
50年代・60年代のハード・バップを牽引する二人のトランぺッターの、ともに1956年録音、最初期のリーダー作の2枚のSAVOY盤です。
(モーガンの方の名義上のリーダーはモブレーですが、この文字のでかさはモーガンをリーダー扱いしちゃってもいいでしょう。)
右下: Donald Byrd / Byrd's Word
(赤ラベル DGなし NM-) Sold
ともにモノラル盤 2ndプレス相当になります。
SAVOYの2ndプレスは狙っている方も多いかと思います。赤ラベルでDG無し、とかマルーン(maroon)ラベルとか。
なぜならそれらの多くが初回カッティングのメタル・マザーから起こしたスタンパーでのプレス盤だからです。
ジャケットこそ上の写真で分かるように「表側のカラー部分」が初回盤は裏側までの「巻き」、2ndは表面への「貼り」になっていますが、それでもコーティング印刷のものも多く見た目は十分に立派ですし。
当然、今回新入荷の2枚もきっちり「手書きRVG」が送り溝部(run-off-groove, dead wax)に入っています。
Lee Morgan / Introducing
(上:1st 赤ラベル 下:2nd マルーン)
Donal Byrd / Byrd's Word
(上:1st 赤DG 下:2nd 赤DG無し)
手書きのRVGの筆致だけでなく、無音送り溝のカーブとのRVGとの位置関係も当然それぞれ一致しています。うーん実に美しい送り溝です。
また、2ndは状態の良いものが多く、1stのキズ盤と比べても価格が何分の1とか違うし、音も好みによっては2ndの方が良いと感じるタイトルもあったりします。
「リー・モーガン派」? 「ドナルド・バード派」?
この恐れを知らぬ問い。
片や、リー・モーガン。18歳でこのアルバムやBlue Noteに初リーダー作『Indeed!』を吹き込みクリフォード・ブラウンの再来と言われた早逝の天才。
片や、50年間にもおよびリーダー作を吹き込み、実験的な作品やゴスペル、フォーク、ポップス、コーラス、ファンク・ロックの導入などその器用さが裏目となってかえってファンから疎んじられたりもしたバード。
たしかにモーガンの閃光のごときソロの炸裂に心ときめかされたことは数え切れません。
しかしながら、こと50年代の真正ハード・バップ作品同士で比べればバードも負けていない(作品も少なくない・・・)と思います。
時に走りすぎるモーガンに対して、共演者の個性をうまく生かした歌い方、パワーの調節などはバードの美点であり聴いていて安心感みたいなものを感じさせてくれます。
実は私はモーガンのレコードより、バードの入ったレコードの方が2倍以上多く聴きます。判官びいきかもしれませんが私はバード派です。
ちなみに私がよく聴く二人の参加するアルバムは、
【リー・モーガン】
1位 Lee Morgan / The Cooker
(Blue Note 1957年)
私的モーガンのベスト1。というかブルーノート全体でも5本の指に入る愛聴盤。私の夏のスタミナ源。たるんだ心に雷を落としてくれます。ペッパー・アダムスも好きなんで。
2位 Johnny Griffin / Blowing Session
(Blue Note 1957年)
グリフィン、コルトレーン、モブレーというギラギラのテナー3人を同時に相手にできるtpはモーガンしかいないでしょう。しかもまだ19歳ときては。すでに彼のソロは全て凄いです。
3位 Hank Mobley / Introducing Lee Morgan
(Vee Jay 1956年)
今回の新入荷盤です。このアルバムの前日に初リーダー作『Indeed!』(Blue Note)を録音して、さすがのモーガンも一息つけたのか硬軟実に上手く使い分けています。
とりわけB面のスタンダード・メドレーの悦びは格別。朝日のように爽やか・・・とは言い難い「Softly・・・」のワトキンスの粘っこい長尺ソロのあとの、これこそ新しい一日を迎えるにふさわしい「P.S.I Love You」のモーガンのオープン・ホーンが得もいわれず心躍らせてくれます。
今日も一日頑張ってみようかなっと。。。『Indeed!』の10倍は多くターンテーブルに乗ります。
♪ Lee Morgan / P.S. I Love You (1956年)
【ドナルド・バード】
1位 Donald Byrd / Byrd Blows On Beacon Hill
(Transition 1956年)
ボストンのビーコン・ヒルは昼下がりの柔らかい日差しが似合う瀟洒なエリア。そんな雰囲気そのものの演奏。
ニューヨークじゃこの味は絶対出せなかったでしょう。
2位 George Wallington / New York Scene
(New Jazz 1957年)
逆にこれぞNYハードバップ。シチリアからの移民のウォーリントンがボスというのも雰囲気アップ。
2位 George Wallington / New York Scene
(New Jazz 1957年)
逆にこれぞNYハードバップ。シチリアからの移民のウォーリントンがボスというのも雰囲気アップ。
それにしてもフィル・ウッズとバードの相性の良さは抜群。
3位 Donal Byrd / Byrd In Flight
(Blue Note 1960年)
ともに絶好調のマクリーンとモブレーを入れ替えた2種の5tet演奏がそれぞれ3曲ずつ聴けるのも楽しい。
3位 Donal Byrd / Byrd In Flight
(Blue Note 1960年)
ともに絶好調のマクリーンとモブレーを入れ替えた2種の5tet演奏がそれぞれ3曲ずつ聴けるのも楽しい。
バードもここでは火を噴いています。バラードすら酔いまくり。録音も最高峰。
♪ Donald Byrd / Little Boy Blue (1956年)
(正装したバードが朗々と歌い上げる泣きの一曲。メンバー全員そのサポートに淡々と徹している美徳。そんな中唯一ピアソンのソロ場面でのレックス・ハンフリーズのブラシでのタイミングの取り方がバードのポケットチーフを整えてあげているように思えたちゃって。その後のバードのソロがもう一つ輝きを増して聴こえます。)
モーガンはその存在でスタジオのメンバーたちの空気を自分の方に引き込むカリスマを持っている。
対して、取り立てて目を見張るソロを取るわけでもないけれど、セッションのシチュェーションや空気感、共演者の特徴やその日の調子みたいな諸々の妙味を生のままアルバムに閉じ込めちゃうのがバードならではだと思うのです。
♪ Donald Byrd / Little Boy Blue (1956年)
(正装したバードが朗々と歌い上げる泣きの一曲。メンバー全員そのサポートに淡々と徹している美徳。そんな中唯一ピアソンのソロ場面でのレックス・ハンフリーズのブラシでのタイミングの取り方がバードのポケットチーフを整えてあげているように思えたちゃって。その後のバードのソロがもう一つ輝きを増して聴こえます。)
モーガンはその存在でスタジオのメンバーたちの空気を自分の方に引き込むカリスマを持っている。
対して、取り立てて目を見張るソロを取るわけでもないけれど、セッションのシチュェーションや空気感、共演者の特徴やその日の調子みたいな諸々の妙味を生のままアルバムに閉じ込めちゃうのがバードならではだと思うのです。
『At The Bohemia』(Progressive)での性急で粗っぽい疾走感、
『Motor City Scene』 (Bethlehem)のような故郷のデトロイト勢との息の合った演奏、
仏録音 『Byrd In Paris』での昂揚したエトランゼ感、
『Fuego』 (Blue Note)のようなホットでスパイシーな雰囲気 ・・・等々
もちろんモーガン・ファンの「お前はモーガンの聴き方がわかってない」との声もあるでしょう。
あなたは「モーガン派? バード派?」
さて、ジャズ・ファン100人にこの単純な問いをぶつけたら。。。
ご来店のジャズ・ファンの方は投票のご協力をお願いいたします。
(100人では日数がかかりすぎるのでこれぐらいにしときます)
それでは、本日も皆様のご来店をお待ちしております。
それでは皆様のご来店をお待ちしております。