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✼ ✼ ✼ 30th Jan, 2021 ✼ ✼ ✼
佐藤博のアルバム2枚が入ってまいりました。
佐藤博 『Awakening』
(アルファ ALR-28036)
1982年 オリジナル盤
佐藤博 『This Boy』
(アルファ ALR-28066)
1985年
ともにヤフオクでも帯付きだと確実に1万円以上になる人気盤です。
➽ ところが2枚ともご覧のようにベッタリと3枚もレンタル・シールが。。。
今でこそ当たり前のレンタルCDやレンタルDVD。
その起源は 1980年代前半に一大産業となったレンタル・レコードです。
1980年に大学生になった私も当時大変お世話になりました。
レンタル・レコード店は、一定期間過ぎたレコードを「レンタル落ち」として、店頭の片隅で100円~300円ぐらいで販売していました。(これは今でもレンタルDVD屋さんとかでもやってますね。)
中古レコード店には、当然それらレンタル落ちレコードも入ってまいります。
レンタル落ちと聞くとさぞかし傷があったりジャケットが傷んでいたりと想像しがちです。
ロンバケやユーミンなど確かに繰り返し借りられたレコードも多々あります。
しかし、当時レンタル屋さんでは、マイナーなレコードは一度も借りられていないと思われるものが結構あったという印象です。
いくら300円ぐらいで借りられたとは言え、借りたレコードは大抵カセットテープに落とすわけです。テープが4・500円したわけですから、皆さんそんなに何でもかんでも借りられたわけではなかったのです。
今回の佐藤博も、スピンドル・マーク(センターホール周りのいわゆる "ヒゲ" )を見ると『Awakening』に2・3本あるのみ。『This Boy』は一度も聴かれていないと思われます。
おまけにレンタル屋さんはジャケットはビニールでカバーしてあるのでこれまた新品同様。
シールさえ剥がせれば・・・
➽ そこで今回は「レンタル・シールの剥がし方」をご紹介いたします。
これだけ高額なレコードだと剥がし甲斐がありますな(笑)
使うのはこちら。
・ 福岡工業株式会社
『MITSUWA PAPER CEMENT SOLVENT』
(以下 ミツワ液)
・ 百均で買った毛先の細か目の書道の筆
まず、その前に、シール剥がしの基本は「温めて剥がしてみる」ことです。
液体を使うとジャケットの色落ちや変色が起こることがあります。
ドライヤーやストーブの熱でシール部分を温めてやって、ゆっくりめくってみることから試してください。
今回の場合も、オレンジ色のシールは熱だけで綺麗に剥がせました。
➽ ではミツワ液を使った作業です。
(ミツワ液でもジャケットの色が落ちてしまうものがありますので、必ずジャケットの裏の隅の方などで色落ちがないか試してください。)
色落ちなどの問題が無ければ、筆で液をシール表面に塗ります。目的はシールの紙を透過させて糊を少しずつ溶かしてやること。
10秒ほどで揮発して乾いてしまいますので、繰り返し塗らなければいけません。
液に長く浸せば浸すほど糊が溶けてめくりやすくなります。(最低2~3分ほどは浸したいです。できれば5分ほど。)
ただ、すぐに揮発しちゃうので液がもったいない。
そこで、
【 秘伝❶ 】 塗ったあとにラップなどを貼り付けて揮発を抑制してやります。
これを何度かやってからめくり作業に入ります。
➽ めくりはじめでツメなどを使うとジャケットのその部分に凹み跡が残ってしまいますので、
【 秘伝❷ 】 液で濡らした筆先の毛を、シールとジャケットの間に差し込める場所を探します。
筆が乾いたらまた液をつけます。
そして時々シール表面を液で濡らしてやることも怠らず。
➽ シールの周囲をつつくように根気よく何周か探っていくと、やがてスルッと毛先が潜り込んでくれる場所が見つかります。
こうなったらしめたもの。
(※ どうしても毛先が潜り込む場所がない場合、針先を皮下注射のように斜めに僅かに刺してやってきっかけを作ります。)
➽ 筆先は常に液で濡らしながらシールの糊を溶かすように押しながら範囲を広げていきます。
可能なかぎり筆先に任せます。
指でめくるとシールが変なふうに破れちゃって手こずることになります。
(※ 筆先がなかなか進まない場合は、指でシールを軽く引っ張りながら、それでも筆先メインのつもりで進めていきます。)
➽ はい、完全に剥がれました。
レンタル盤にお馴染みのこの黄色の楕円シールはミツワ液でなんとか剥がせます。
(黄/緑のタイプより、黄/赤や 黄/黒のタイプの方がはるかに手強いですが。)
当然、ツルッとした表面のジャケットほど剥がしやすいです。
➽ さて、今回の盤にはもう一枚バーコードの入った四角いシールがありましが、この糊がかなり強力で手強かったです。
それでも基本は同じ。
根気よくやっても筆先が潜り込む場所がなかったので、爪先でカドの部分をわずかにめくって、あとは液をつけた筆先で広げていきました。
【 秘伝❸ 】 剥がしたいレコが2枚あれば2枚同時に作業します。
一方をめくっている時も、もう一方のシール表面を常に濡らしておいてやることで、各々が液に浸る時間が長くなるからです。
➽ なるべく筆先でつつく感じで広げていってやる。
➽ で、ご覧のように見事きれいに剥がせました。
2枚で全作業時間は 40分ほど。
そのうち半分以上は液を浸している時間です。
綺麗に剥がせても、経年の科学的な変色や、日焼け跡などが残る場合も少なくありませんが、今回の2枚は全く痕跡もなくめくれました。
➽ 帯を戻して、
帯付き・新品同様になりました~。
※ 本文中にも書きましたが、ミツワ液でもジャケットが色落ちしたり変色したりするものがあります。1〜2分なら色落ちしなくても長く浸すと色落ちしてくるものがあったりします。不要なジャケットとかで少しずつ試してみてから自己責任でやってくださいね。
それでは皆様のご来店をお待ちしております。