1501~1543
② NEW YORK 23ラベル
「47 WEST 63rd
NEW YORK23」 という住所が入っています。
1957年にBlue Note社はオフィスをLexington Ave. から 63rd Street に移転したためこのように変更されます。 NEW YORK23は当時の郵便番号です。
初回盤がこのラベルなのは以下の番号です。
1544~1565 (1560,1564を除く) および 1576。
1568, 1575, 1577の片面
BLP-1568番と1577番はB面のみがNY23ですが、1575番はA面のみ・B面のみのそれぞれが存在します。両方とも印刷されているのですから両面NY23が発見される日が来るかもしれません。
③ 63rd Rなし ラベル
「NEW YORK23」 表記が無くなります。郵便番号が変わったわけでも番号表記に関する変更があったわけでもないので単にデザイン上の問題だと思います。
初回盤がこのラベルなのは以下の番号です。
1560 ~ 4016
ただし、1561,1562,1563,1565,1568,1575,1576,1577 の8枚を除く。
④ 63rd R有り ラベル
1958年にBlue Note社が商標権 (Principal Register) を取得したため
「マルRマーク」 (The
Registered Trademark) が入ります。
また同時に法人格(
Incorporated Company)を表す
「INC」の文字が入るようになります。
レーベルに関しては「Rマーク」が有れば必ず「INC」も有りますので、中古レコード店の値札やオークションの商品説明などではどちらか一方の表示があれば事足ります。
(なお、後述するジャケット裏下部の「INC」表記の有無は、オリジナルでもセンターレーベルと一致していないものがあるので注意が必要です。)
初回盤がこのラベルなのは以下の番号です。
4017~4074 (除4062, 4071)
および4077, 4080 (=rare)
(※ コーエン本ではBLP-4080は片面のみ47/63rdとされています。)
⑤ NEW YORK USAラベル
単に「
NEW YORK USA」 となり、47/63rd の表記は消えます。
これは1960年にBlue Note社が 47West63rd から 43West61st に移転したことによるものですが、だからと言って「43West61st」 となることなく単に「NEW YORK USA」 となるわけです。
初回盤がこのラベルなのは以下の番号です。
4062, 4071
および 4075~4247 (4077, 4080, 4203,4212,4232,4243,4244を除く。 4245は片面NY。)
なお、84248~84250, 84252の4枚はステレオ盤のみNYラベル。
⑥ LIBERTY ⑦LIB/UA ⑧ UNITED ARTISTS
左: ⑥ A DIVISION OF
LIBERTY RECORDS, INC
中: ⑦
LIBERTY UA INC., LOS ANGELS, CALIFORNIA
右: ⑧ A DIVISION OF
UNITED ARTISTS RECORDS, INC.
Blue Noteは1966年に大手の
Liberty社傘下に入ります。また、1969年にはそのLiberty社が
United Artists社に吸収されます。これらの時代は⑥・⑧のようにセンター・レーベルの住所部分は親会社の名前が入るようになります。
UA時代の初期には一時的に⑦の「黒&ターコイズ」 のセンターレーベル(
LIB/UA)が現れます。
今回の記事で対象としているBLP-1500~4250番前後のレコードについては⑦・⑧は全て2ndプレス以降の再発盤になります。
ただ、オリジナルにこだわらない方の多くはUAレーベル盤までを1500/4000番台レギュラー・タイトルの収集の対象とされているようです。
特に、Liberty再発盤や、オンプ(♪)ロゴのUAラベル再発盤でもVAN GELDER刻印入りのものがありますし、1500番台のタイトルでLiberty時代に再発歴のないものがUA時代にモノラルで再発されたものはRVG刻印が無くても音質の良いものが多く近年評価されてきています。( なお、当店ではこれら再発盤もどこよりも高価に買い取らせていただいております。)
このほか、1985年~ EMI-Capitol系 Manhattan Records社監修の 「DMMプレス(Direct Metal Mastered)盤」 が出ますが、この頃からCDが普及し始めることから考えると "アナログ最後の抵抗"的 な感じがします。
その後もClassic Records社やAnalogue Productions社、Music Matters社などが個別発売権を取得し重量盤や45回転盤などAudiofile 向けの高音質盤をリリースします。
これらもCDに対抗するためのアナログ側の努力の現われで、実際に十分良い音のものが多いですし、今日の "アナログ・レコードの復活" につながるものとして大いに評価できます。)
✽ ミゾ (Deep Groove, DG)
センター・レーベルの外縁の1.5cmぐらい内側に同心円状の
「ミゾ」があります。上述のレーベル種類の①~⑤それぞれに現れます。
Lexington レーベル= すべてに存在します。
両面47/63rd レーベル= すべてに存在します。(例外 4073, 4077, 4080番。また、4059, 4072番はいずれも片面のみミゾあり。)
なお、初回プレス時は両面にミゾがあったものも、後のプレス時に片面だけになる例は多数あります。
BLP-4060番~4080番あたりまでは住所との組み合わせで複雑なので整理しておきます。(
太字がDGありです。下線付きはレア・ケースです。※印はコーエン本です。)
4060=47/47
4061=47/47
4062=NY/NY (※片ミゾ)
4063=47/47
4064=47/47
4066=47/47 (※ミゾ無し)
4067=47/47
4068=47/47
4069=47/47
4070=47/47
4071=NY/NY
4072=47/47 (※ミゾ無し)
4073=47/47
4074=47/47
4075=NY/NY
4076=NY/NY
4077=47/47
4078=NY/NY (※片ミゾ)
4079=NY/NY
stereo 84079はコーエン本ではミゾなしになっていますが、NY/NYが有ります。
4080=47/47 (※47/NY)
コーエン本との違いが目立ちます。 4060・4070番台の20枚が一番難しいところなのです。
やはり確証は現物写真なのですが、このネット時代にも関わらず意外に残っている画像が少ないのです。さらに最近はミゾまで再現した再発盤もありネット上の写真を見る際には注意しなくてはいけませんし。。。
続く
4081番以降も、両面ミゾあり、片面ミゾ有りでオリジナル、ミゾなしでオリジナルなどが飛び飛びに現れて複雑になります。(コーエン本との相違はぐっと減りますが。)
おまけにモノラル盤とステレオ盤でも異なるものがあり、上のような個別の一覧表でないと表しきれないレベルとなります。
✽ 耳マーク (Ear mark)
私の記憶では1980年代後半ごろから日本の一部のコレクターの間で「
耳マーク」と呼ばれ、このマークが有る盤は音が良いと言われるようになりました。
やがて海外のセラーも日本人からの問い合わせなどでその存在に注目し始め、1990年代からオークション・リストなどに「Ear」と記すようになります。
長らく日本の多くのコレクターにとっては、このマークが何を表すのか謎だったのですが、ネット時代になって、これはアメリカのレコード・プレス会社 「Plastylite社」 の頭文字「P」のマークだと知られるようになりました。
画面右上、そのロゴを見れば「確かにこのPみたいだな」 ということになるわけですが、何か違いますよね。。。
RVGの刻印などはレコード盤面上「凹」で刻まれていますが、耳マークは「凸」です。凸で現れるものはメタルマスターかスタンパーの段階で刻まれたものでレコード盤面上は版画と同じく左右反転します。
画面右下はこの元写真を反転させ逆さまに見たものです。これでちゃんとロゴと同じ形の「P」ですね。
(※ レコード盤の製造工程、刻印・メタルマスター・スタンパー等については、
最近「Pマーク」という言い方がちらほら見受けられますが、今や世界的に「Ear mark」で通用していますし、言わばこの名付けの親は我々日本人コレクターのわけです。「Pマーク」 なんて呼ばずに 「耳マーク」 という呼び名を守りたいものです(笑)。
それに 「ピーあり」って言うより「耳あり」の方がしっくりきませんか。。。
初回盤に耳マークが存在するのは以下の番号です。
1500番台= すべてに存在します。
4000番台= すべてに存在します。
4100番台= 4118,4171,4193,4196 の 4枚を除き 存在します。
4200番台= 4200,4201,4202,4205,4207,4208,4214,4216,4220,4221,4224,4225,4226 の 13枚にだけ 存在します。
4000番以降は耳マークはモノラル盤にあるものは原則ステレオ盤にも存在します。むしろモノラルで耳なし又は片耳でもステレオ盤には耳ありの例も多いです。(もちろん Liberty以降のステレオ化プレス盤は除きます。)
✽ RVG刻印 / VAN GELDER刻印
録音されたマスター・テープの音を、レコード盤プレス製造の最初の「版元・原版」となる
ラッカー盤上に刻み込む作業をカッティングと言います。
マスターテープの「
磁気信号」を物理的な「
ギザギザの山」に置き換えるわけですから、これは機械に任せておけば誰がやっても同じようにできるわけにはいかず、技師の調整・裁量・さじ加減でできあがるレコードの音質は千差万別になります。
このとき行われる調整のことを「マスタリング」と言い、アナログ・レコード時代はカッティングとマスタリングはほぼ同義でした。
1950年代・60年代のほとんどのBlue Note作品の録音を担ったルディ・ヴァン・ゲルダーは、このカッティング(マスタリング)作業も自ら行い、仕上げにラッカー盤に自らの名を刻みました。
A 「手書き RVG」 (Hand etched RVG)
1501~1559
もっとも初期の作品のオリジナル盤は、ヴァン・ゲルダーの「手書き」のサインが入っています。
これを 「手彫り」という場合もありますが、「hand etched」の訳なのか、あるいは硬い金属版に彫っているというイメージがあるからなのでしょう。
ラッカー盤はとても軟らかいもので、「彫る」という感じではありません。
写真左下の拡大した「R」を見ると縦画の末尾に、いかにも軟らかいものに書いたかのような "トメの痕" が見て取れます。 硬い金属板に彫った場合にはこのようなトメの痕は現れないでしょう。
私は「手書き」と言ったほうがしっくりくる気がします。
なお、初回盤がLex/手書きRVGのタイトルも、63rd/R無しラベルでの再発時に次の「B」(刻印RVG)になるものがあります。2ndプレスになるわけですが、これも50年代のヴァン・ゲルダー自身による再カッティングですので機会があれば手書き盤のカッティングとの音の違いを楽しまれると良いと思います。
B 「RVG刻印」 (Machine stamped RVG)
1560~4093 および 4096, 4098
C 「VAN GELDER刻印」 (VAN GELDER stamp)
4094, 4097, 4099~
※ RVG刻印についてはこちらにも取り上げております。
👉 当ブログ記事 『RVG刻印・VAN GELDER刻印のこと』 (2017年12月2日)
✽ エッジ形状
フラットエッジ(Flat edge)、
グルーヴガードあり(Beaded edge)があります。 さらにフラット・エッジには端っこが A 「コ」状 のものと B「
⊃」状のものの2種類あります。
A フラット:角 (Flat edge)
B フラット:丸 (Flat edge)
C グルーヴ・ガードあり (Beaded edge)
グルーヴガード(Groove Guard)とは1950年代半ばに一般化するもので、盤の端っこを少し盛り上げることで机の上などに直に盤を置いたときなどに音溝部分に傷が付きにくくすることと、盤の端にに針を置いた時にスムーズに音溝上に針先を誘導する意味があり、今日我々が日ごろ目にするLPレコード盤のほとんどはこの形状をしています。
フラット・エッジはそれ以前の「古い」形状というだけのことです。フラットであること自体にメリットは何もなかろうと思います。
初回盤がフラット・エッジ盤 (A・Bのいずれか) なのは以下の番号です。
1501~1557 (1548, 1551, 1552, 1555, 1556番を除く。)
※ コーエン本では、「1548はフラット存在」となっています。
* * * * *
Ⅱ - ジャケットに関する判定要素
✽ エッジ形状
「
額縁ジャケット」 (Frame Cover) と呼ばれるもので、写真のように、ジャケット表面の左辺と上辺が折り返し部分の段差が有って額縁の枠のように見えるものです。 額縁と言うから4辺(3辺)全てが段差(枠)があるというわけではありません。
初回盤が額縁ジャケットなのは以下の番号です。
1501~1545番 (1516を除く)
BLP-1545番までのタイトルで、中身の盤がオリジナル仕様でも、市場では額縁でないジャケットのものを多く見るタイトルがほとんどです。今やこの「額縁みたいな」 ジャケットがコレクターには大事なわけです。
✽ コーティングの有無
一般的にはコーティング・ジャケットと言った場合、ニス塗りされているような仕上げと薄いラミネート・フィルム貼り仕上げの2種類をさす場合が多いようです。
Blue Note のオリジナル盤の場合は通常後者のラミネート・フィルム貼りを指します(
Laminated Cover )。
状態が良ければ実に美しく高級感があるのですが、状態が悪いとフィルムが浮いたり剥がれたりしてご覧の通り(笑)。 でもフィルムの存在ははっきりわかりますね。
最初にLaminated Coverが現れるのは
1547番 『A Date With Jimmy Smith Vol.1』、確認できる最後が4156番 『The Freedom Rider』です。
当時のBNの稼ぎ頭・ドル箱だったJimmy Smithが最初で、BN最大の功労者Art Blakeyが最後なのはもっともな感じがします。
初回盤がコーティング・ジャケットなのは以下の番号です。
1500番台= 1547~1600のすべてに存在します。
4000番台= 4082を除くすべてに存在します。
4100番台= 4149番まで (4113,4117,4124,4137,4139,4147を除く)、および4156番
✽ 裏面住所
ほとんどのタイトルにはジャケット裏の最下部に住所表記があります。
(もともと住所が入っていないものもあります。住所がないものはオリジナル盤判定の際には考慮から外せるわけですので特に番号は示しません。)
この住所表記は大別して6種類あります。
目がチカチカしてくるかも知れませんがよーく見てください。
各々の初回盤番号は以下の通りです。
① 「Lexington Ave」 1501~1541
1542~
② 「47 West 63rd INC無・明朝体」
③ 「47 West 63rd INC無・ゴシック体」 ~4012
④ 「47 West 63rd INCあり」 4013~4021
4022~
⑤ 「43 West 61st 明朝体」
⑥ 「43 West 61st ゴシック体」 ~4256(4203,4212,4244を除く) および 4263~4265
(②③は1542~4012、⑤⑥は4022~4256 それぞれの間で飛び飛びに現れます。⑤⑥には郵便番号が10023のものが一部ありますがオリジナル判定には無関係なので割愛しました。)
「43/61st」(⑤⑥)の住所でも、最後の方になると、ジャケットの右上に小さく 「A PRODUCT OF LIBERTY RECORDS」 という文字の入ったBLUE NOTE のロゴが入ってきます。(4228,4232,および4237以降)
NYのBlue Note社の住所が入っていながら西海岸LAのLiberty社の名前も入っているとは、まさに過渡期の発売なのでしょう。
なお、レーベル住所とジャケット裏住所は一致しない時期があります。レーベルは1543番までLexですが、ジャケ裏は1542と1543はLexの存在は確認できません。当時の人はどちらにカタログ請求すればよかったのでしょうか?(笑)
もっと言えばジャケットは4022番から43/61stですが、レーベルは4070番台まで47/63rdなので55枚近くが食い違っています。(通販がメインのマイナー・カンパニーながらあまりにも杜撰な気が。)
47と43にはそれぞれ「
明朝体」と「
ゴシック体」があります。ほとんどのタイトルはこのうちいずれか一方しか存在しないので気にしなくていいのですが、BNを代表する名盤
1595番 『Somethin' Else』 には同じINCなしでも②③ともに存在します。
市場では3:7ぐらいの割合でゴシック体が多い感じです。(長年継続生産されていますので④⑥も存在します。)
* * * * *
以上、各判定要素別に見てまいりました。 少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
さて最後に。。。
よくお客様から聞かれるのは、「完全オリジナルって? どこまでがオリジナル盤? 準オリジナルって? じゃあセカンド・プレスって?」 というようなことです。この点について少し書いておきます。
普通、「完全オリジナル」とか、単に「オリジナル」とか言った場合は、「上記判定要素が全て一番最初に発売されたときの仕様になっているもの」を指します。
しかしながら、判定要素のある一つ程度が非常に「出現率が低い」場合など、「許容範囲を広げて」 オリジナルと言うケースがあります。
例えば、BLP-4080番の 『Hank Mobley / Workout』 は、「両面47/63rd」レーベルが存在していますが、それは存在が「極めてレア」なため、「片面だけ47/63rd」でもう片面が後発の「NY」レーベルのものもオリジナルとしている店(オークション出品者)が多いということです。
この場合、とてもレアな両面47/63rd盤は、ことさらに「完全オリジナル」と完全を付けて強調したりするのです。
ただ問題は「出現率が低い」と言っても、程度に幅があることです。
例えばBLP-4059番の 『Kenny Drew / Undercurrent』 は、「両面47/63rd・片面ミゾ有り」 が初回発売仕様ですが、popsikeで検索すると2016-18年の3年間の海外オークション落札履歴では13枚のうち、片ミゾあり盤が7枚、ミゾなし盤が6枚ですので片ミゾの出現率は五分五分程度です。
この場合、ミゾなし盤を「オリジナル」と言うとちょっと許容範囲を広げすぎでしょう。 じゃあオリジナル(=1stプレス) じゃないから「2ndプレス」なのか・・・ それだとちょっと厳しすぎるかな、っていう感じの場合に「準オリジナル」みたいな言い方が使われたりすることがあるわけです。
いずれにしても、「オリジナル」とか「準オリジナル」とか「2ndプレス」とかいう言い方は、すべて許容範囲をどうとらえるかという 「さじ加減」の問題がからんできます。
これからオリジナル盤やそれに近いプレスでBNをコレクションしようとする方は、この「さじ加減」が妥当で信用のおけるお店、きちんとした説明ができる店 を選ばれると良いと思います。
長々とお読みいただきありがとうございました。
それでは本日も皆様のご来店をお待ちいたしております。
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